U2のアルバムの中の最高傑作。グラミー賞(最優秀アルバム賞)受賞。誰しも認める作品に違いない。だが、U2はこのあと、この硬派社会派ロック路線をばっさり切り捨て、軟派POP路線に入る。成功にしがみつかずローリングするさまはとっても潔い。ディランがフォークギターからエレキに持ち替えたときのような、ファンにとっては「なにそれ」的なコペルニクス的転回。ディランは「ユダ!」と罵声を浴びたが、U2は? ヨシュアトゥリーがU2のアルバム別売り上げ枚数の最高=2850万枚=で、以降のアルバムはそれを超えることはなかったことをみても察しはつくだろう。政治的にも積極的に介入していく。アリゾナ州知事のリコール運動を展開したり。アイルランドから来て何を言うか、というアメリカ国民の反感もあったらしい。
だからといってこのアルバムの価値が変わることはない。むしろ人間は多様性の生き物だ。辛いものを食べたら、甘いものがほしくなるのもまた自然なことだ。
短い人生の間に、このアルバムを聴くことができて、とても幸運だと思う。
(スーパーデラックスエディションには、本作のリマスター盤、シングルB面と未発表曲を収めたボーナスCD、1987年のパリでのライブDVDがセットになっている。)
ボーナスDVDのなかで、ビルの屋上で演奏するシーンがある。ビートルズのルーフトップコンサートを見ているようだ。結局警察に中止させられるんだけど。よくわかるなぁ、あの気持ち。
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by samuel48
| 2011-02-05 21:13
| rock