IE9ピン留め

The joshua tree (super deluxe edition)           


 U2のアルバムの中の最高傑作。グラミー賞(最優秀アルバム賞)受賞。誰しも認める作品に違いない。だが、U2はこのあと、この硬派社会派ロック路線をばっさり切り捨て、軟派POP路線に入る。成功にしがみつかずローリングするさまはとっても潔い。ディランがフォークギターからエレキに持ち替えたときのような、ファンにとっては「なにそれ」的なコペルニクス的転回。ディランは「ユダ!」と罵声を浴びたが、U2は? ヨシュアトゥリーがU2のアルバム別売り上げ枚数の最高=2850万枚=で、以降のアルバムはそれを超えることはなかったことをみても察しはつくだろう。政治的にも積極的に介入していく。アリゾナ州知事のリコール運動を展開したり。アイルランドから来て何を言うか、というアメリカ国民の反感もあったらしい。
 だからといってこのアルバムの価値が変わることはない。むしろ人間は多様性の生き物だ。辛いものを食べたら、甘いものがほしくなるのもまた自然なことだ。

 短い人生の間に、このアルバムを聴くことができて、とても幸運だと思う。
(スーパーデラックスエディションには、本作のリマスター盤、シングルB面と未発表曲を収めたボーナスCD、1987年のパリでのライブDVDがセットになっている。)
  
 ボーナスDVDのなかで、ビルの屋上で演奏するシーンがある。ビートルズのルーフトップコンサートを見ているようだ。結局警察に中止させられるんだけど。よくわかるなぁ、あの気持ち。

 

# by samuel48 | 2011-02-05 21:13 | rock

cadillac records                          


 人間は、天性の閃きを「持っている」人と、努力して成し遂げる人と、二通りあるというけれど、どんなに優れた才能も、どんなに優れた思想信条も、みんなが知らなければ埋もれるだけだ。
 だから、閃きの天才と努力の天才のほかに、他人の才能を利用してそれを一般受けするように翻訳するという「天才」も必要。
 だがしかし、優れた芸術を生み出す才能と、それを世に広める才能とは、およそ別物。
 創作活動とは孤独で苦しい作業ではあるが、またそれは歓喜をももたらすがゆえに麻薬的。しかしそれだけでは食っていけない。
 営業活動はマネーをもたらすがゆえに魅力的ではあるが、創作的な崇高さとは異質のもの。かのミケランジェロも「自分は彫刻家だ」という自負があったが、ローマ教皇の命により天井画を描くよう命ぜられ、しぶしぶ従ったという逸話は象徴的だ。

 もし人間が食べなくても生きていけるのなら、自由な創作活動に没頭できるのに、と思うのだが、それは夢だろうか。音楽や芸術は、ただそれだけで価値あるものであってほしい。
 悲しいかな、多くの優れた芸術は、創作者の悲劇性からもたらされていることが多い。

# by samuel48 | 2011-02-05 18:09 | movie

THE INSIDER                            


米国のたばこ産業の内部告発をテーマにした社会派ドラマ。告発者(インサイダー)とマスコミ、たばこ会社との攻防。大企業が自己防衛のためにどういう(違法すれすれの)方法をとりえるのか、そんな大企業側の理屈も知りたいと思った。それにどう対抗するのかも・・・。まあアメリカが舞台だから日本とは違うのだが、(リアル世界で)たばこ会社を相手にしなければならない側としては、すこしでもヒントが欲しかった。実話がもとになっているというのも興味深かった。
 え?ヒントになったかって・・? まあね・・・。
  
 監督のマイケル・マンは「刑事スタスキー&ハッチ」の脚本や監督を手がけている。
 なつかしいな~ スタさん&ハッチ 
 この映画も アル・パチーノ&ラッセル・クロウ。こういうの得意なんだろうな、この監督。

# by samuel48 | 2010-02-28 18:02 | movie

MYSTIC RIVER                          


 嘘をつくのはむずかしい。嘘が不信を生み、争いを生む。
 でも、何が真実かなんて、実はどうでもよくて、自分が真実だと思うことそれ自体が真実であったりする。
 さらにいえば、弱いものは自己防衛のために、強いものは相手を攻撃するために「嘘」をつく。
 強い者の嘘は聞き流せばいいが、弱い者の嘘は、ケアが必要だ。 

 嘘をつかなければ悲劇はなくなるのか? 嘘をつくことで災いを避けてきた者にとって、嘘もまた真実なのだろうか・・・。いずれにせよ、軸がぶれてきたときに、この映画を観ると、どれくらい自分がぶれているかがわかる。
 もしあのとき、こうだったら、ああだったら。右でなく左にすすんでいたら、1両目ではなく2両目に乗っていたら、おまえでなく、おれだったら。そんな些細な選択が、自分の人生を大きく変えることもある。ただ、たいていの人は、そのことに気づかず、平凡な(と思う)人生を過ごす。ナイフのエッジの上を歩いているに過ぎないということに気がつかず、生きている。

2003年アメリカ映画。クリント・イーストウッド監督作。
 
  

# by samuel48 | 2010-02-28 16:21 | movie

羊たちの沈黙                           


 ジョディフォスターが素晴らしい。まだヒヨッ子なのにレクター博士と渡り合い、絶体絶命のピンチでも犯人の撃鉄を起こす音を聞き逃さない。いやいや、茶化しているわけではない。それもこれも日ごろの訓練をみっちり積んでいればこそできること。自己鍛錬こそが身を助ける。まあ、そういう、クラリスの成長物語。
 観るものを引きずり込む映像は、さすがジョナサンデミ。しっかりとした脚本に、ツボを抑えた映像。アンソニーとジョディのプロとしての仕事ぶりも。
 スリラー・ホラーなのだが、現実社会も同じようなもの。ただし銃はぶっ放せない。丸腰で現実社会に立ち向かうほうが、よっぽど恐怖なのかもしれない。
 大学で銃を乱射し、歩行者天国に車で突入し、刃物を持って小学校に乱入し、通学中の小学生の列に車ごと突っ込む。おそらくそんな「恐怖」に耐えられない、耐える方法を知らない輩が引き起こす悲しい事故。
 みんな心に泣き叫ぶ羊を抱えている。それを鎮めるために、日々生きているといってもいい。

# by samuel48 | 2010-02-13 21:25 | movie

INTO THE WILD                    


 「青年は荒野をめざす」という五木寛之の小説があった。トランペットってかっこいいな、ブラバンもいいかなと思うきっかけにもなった。
 そのあと、ザ・フォーク・クルセダーズが同名の曲をリリースしている(1968年)。
 荒野は、「希望」であった。ある人には「野望」であり、ある人には「約束の地」だったかもしれない。

 この映画も、主人公は荒野をめざす。人間はもっと自由であるべきだ。現代社会の合理主義から開放され、感覚・感情を尊重し、「自然に帰る」のだ・・・。
 
 気持ちはよくわかる。クレジットカードや預金通帳を燃やし、携帯電話やパソコンを捨て、親兄弟と決別し、雄大な自然の中で暮らしていけたらどれだけいいだろうか。「暮らしていけたら・・・」。
 ネタバレになるので、ラストは語らないが、心が沈む。沈痛な、といってもいい。
 全体のストーリーから浮かび上がってくるのは、絆こそよりどころなのだという逆説的メッセージ。

 ショーンペンが監督した、実話である。
 

# by samuel48 | 2009-12-26 22:39 | movie

The Sun                               


 アメリカ大統領を描いた映画、ヒトラーやムッソリーニを描いた映画、英国女王やプリンスを描いた映画はたくさんあれど、昭和天皇を描いたものは、記憶するところこれが初めてではないかと思うがいかがか。
 亡くなった父の書棚には「昭和史の天皇(読売新聞社編)」が全巻あった。中国に戦争に行ったらしいのだが、何があったかは語らず死んでいった。「アッツ島の生き残りだ」とうわごとで言ったらしいが・・。(中国とアッツではずいぶん離れているが)。
 それはともかく、「The Sun」、日本語タイトルは「太陽」。イッセー尾形が昭和天皇を演じている。実はまだ最後まで観ていない^^。ある面、コメディー的でもあるが、たぶん事実もこうだったんだろうと、個人的にはそう思われるほど、リアリティーに満ちていて、観るのがつらくなった。
 天皇の股肱として、戦場におもむいた人々は観ないほうがいいだろうナ。

 どんな人間だって、みんな同じなのだ・・・妙に楽しい映画である。

# by samuel48 | 2009-12-26 21:15 | movie

LIVE AID                             


 Live Aid は1985年7月13日、三大陸をつなぐ一度限りのライヴ中継だった。
  このとき、テレビの深夜放送を、遅くまで観ていた気がする。とにかく、興奮していた。ウッドストックは良く知らないが、ライブエイドは今でも鮮明だ。

 飢えた子供のまえで音楽は有効か?
 飢えた子供のまえでは、音楽家より医者が必要ではないのか。
 
 でも、医者でも救えないものが、音楽は救えることがある。
 沈み行くタイタニックで、なぜ音楽家達は最後まで賛美歌を演奏したのか。
 
 こころを救うのは、音楽であり、絵画であり、言葉なのだろう。
 こころが救われなければ、体も救われることはない。
 
 賛否両論あるが、すくなくともボブゲルドフの誠実さが、このイベントを崇高なものにしている。

Do they know it's christmas?

# by samuel48 | 2009-12-23 22:04 | rock

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